トレーニングコンセプト

『認知・判断・実行』を改善する4つのコーチングポイント【正しいことを行う・正しく行う】

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サッカーでは問題を解決するために様々なコーチング・声掛けがありますが、次の言葉の共通点と違いは何でしょうか?

  1. しっかり蹴れ!
  2. 右サイドの選手aがフリーだけど見えてた?
  3. 身体の向きとファーストタッチをどうすればいい?
  4. 誰にパスすれば相手ゴールに近づく?
  5. 選手bがマークされたら選手cが空くよ。

まずこれらの共通点は、後述のある1つの局面の中でミスが起きた時に起こり得るコーチング・声掛け(罵声?)です。異なる点はというと、①は「実行」部分の結果に限定されているのに対し、②~⑤は「認知」「判断」にフォーカスしたコーチング・声掛けによって改善を促そうとしています。

「認知・判断・実行」のプロセスを理解し、実行部分の「正しく行う」ためのコーチングだけでなく、認知・判断にフォーカスした「正しいことを行う」ためのコーチングも身につけ問題解決のための引き出しを増やしていきましょう。

ピッチ上で力を発揮するために必要なことは?  –『認知・判断・実行』

ドイツサッカー協会の答え




認知・判断・実行のプロセス

サッカーのアクションには「認知・判断・実行」のプロセスが含まれ、多くの場合、意識する間もなく行われています。認知には理解・評価・予測などの要素が含まれますが、ドイツサッカー協会の講習会の情報をもとに状況把握予測に分けて整理しました。

  1. 状況把握(感覚器官によりボールや選手、ゴールの位置などを把握する)
  2. 予測(入手した情報から次に起こりうる展開を予測する)
  3. 判断(選択肢の中から行動を選択する)
  4. 実行(テクニック・フィジカルを用いて選択した判断を実行する)

状況把握(認知)

このプロセスはまず情報を収集する認知(状況把握)から始まります。自分の目で見たり(視覚)、味方の声や相手選手の足音を聞いたり(聴覚)、相手選手に触れたりすることにより(触覚)、ボールやゴール、味方や相手選手の位置などを情報として収集します。そして、集めた情報を最終的に脳で処理(理解・評価)して状況を把握することになります。

サッカーでは情報収集の90%以上が視覚により行われていると言われています。ということは、必要な情報を集めて状況を正確に把握するためにも視野を確保できるポジショニング身体の向きが重要となってきます。レベルが上がればゲーム展開が速くなり一瞬で状況も変化するので、ボールの移動中にもこまめに首を振るなどして常に変化を読み取ることも必要です。

予測(認知)

入手した情報をもとに素早く正確に状況を把握することができれば「次に何が起こるか」「次に何をすることができるか」先の展開を予測することが可能になります。展開を予測することができれば空間的にも時間的にも相手を上回る行動が可能になり、時には選択肢を増やすことにもつながります。

例えば、守備であれば相手の縦パスを読んでインターセプトしたり、攻撃であればボールを止めてから考えるのではなくディフェンダーが対応しづらい1タッチのパスを出したりすることが挙げられます。ボールを受けるまでに次の展開を予測できなければ1タッチプレーの選択肢を失い、ボールを止めてから行う選択肢に限られてしまいます。

判断

状況把握と予測をもとにいくつかの選択肢が生まれ「次に何を行うか」の判断を下します。つまり観ることにより得た選択肢の中から決定することになりますが、正しく観ることができていなければ選択肢が限られてしまったり、そもそも正しい選択肢を持つことができなかったりする可能性が高まります

例えば、攻撃であればサポートしている味方を見ることができずにパスコースを自ら減らしてしまったり、守備であればボールウォッチャーになって相手選手をマークすることができなくなってしまったりすることが挙げられます。

「1つの局面において最適な選択肢を選ぶことのできる能力」のことをゲームインテリジェンスサッカーIQと呼びます。この能力が高い選手は認知(状況把握・予測)と判断を素早く正確に行うことができると言えます。

また、人によって選択肢を判断して他の情報を遮断するまでの時間が異なります。例えば、フォワードタイプの選手はペナルティエリア内でシュートを撃つという判断をする時、中盤の選手よりも早い段階で他の情報を遮断し集中して選択肢の実行に移します。逆に、中盤タイプの選手は周囲の情報をすぐに遮断することなく取り入れ続け、短い時間単位の中でも判断の変更を行い実行することができると言われています。

ドイツ指導者講習会 スポーツ心理学者 Dr. Oliver Hönerの研究

実行

プロセスの最後にあたる実行はボールコントロール、ドリブル、パス、シュートなどのテクニック的な手段、もしくはスプリントやジャンプなどフィジカル的な手段を指します。手段となるこれらの質がアクションの成否に影響を及ぼします。

例えば、パスコースがわかっていてもパスのスキルが低ければ味方にボールを送ることができません。ボールが届いてもコントロールをミスしたらボールを失ってしまいます。また、スピードやジャンプ力が相手よりも勝ることにより、1対1の状況で相手を振り切ったり空中戦で競り勝ったりする可能性も高まります。

  • 認知(状況把握・予測)・判断・実行のプロセス
  • サッカーでは情報収集の90%以上が視覚から
  • 正しく観ることができないと選択肢が減る
  • 予測により空間的・時間的に相手を上回る行動が可能
  • ゲームインテルジェンス・サッカーIQ:一つの局面において最適な選択肢を選ぶことができる能力
  • 実行にはテクニック・フィジカル的な手段を用いる

「正しいことを行う」と「正しく行う」

上図のようにある局面で3つの選択肢が見つかり、その中でも選択肢bが目的に対して最もシンプルで効果的な選択肢だとします。選択肢aはより手間がかかるため、もしかしたら途中でミスに終わる可能性が高まります。選択肢cを選んだ場合、目的にたどり着くことができません。

このように常に状況が変化するサッカーでは実行部分を「正しく行う」だけでなく、「正しいことを行う」ための認知・判断力(ゲームインテリジェンス)も非常に重要となります。いくら正しく行うことができるテクニックやフィジカルを持っていても、そもそも判断を誤り正しいことを行わなければ、目的(得点する・失点を防ぐ)に対する最も効果的で効率的なアクションを行うことができません

下の図はチームがカウンターを仕掛けているシーンで、ボールホルダーに選択肢a「ドリブル突破」、選択肢b「斜め前にパス」、選択肢c「バックパス」があるとします。目的は「得点する(シュートを打つ)」です。ボールホルダーが相手ディフェンダーを2人ひきつけているので、ゴール前の味方に斜め前のパス(選択肢b)を出すことがシュートにつながる最もシンプルなアクションと言えます。ドリブル突破(選択肢a)もシュートに行けないことはありませんが、ディフェンダー2人を相手にするので選択肢bよりも手間がかかりボールを失う可能性も高まります。バックパス(選択肢c)を選んだ場合、相手チームが守備を整えてシュートチャンスを失ってしまいます。

  • 正しいことを行う=状況把握・予測・判断
    (ゲームインテリジェンス)
  • 正しく行う=実行(テクニック・フィジカル)
ドイツで感じたテクニックに対する評価の違い【手段が目的化していないか】 僕がドイツに行って感じたことの一つですが、日本とは「テクニック」や「サッカーがうまい」という言葉の捉え方が全く違っていたというこ...

ミスの原因 = コーチングポイント

試合やトレーニングで起こるミスの原因を探ることによりおのずとコーチングポイントも明らかになってきます

1つのミスに対して実行(結果)だけにフォーカスしてしまうと、冒頭のような「しっかり蹴れ!」というような結果論的な声掛けが多くなってしまうかもしれません。逆に認知や判断(プロセス)にフォーカスしたコーチングで「正しいことを行う」機会を増やしていくと、非効果的な難しいプレーが減り結果的に実行のミスも減らすことにもつながります。

状況把握のミス

図1はパスを受けた選手の身体の向きファーストタッチが悪くて状況把握が十分に行われていない状況です。ボールホルダーは自分の右側にフリーでいる選手aの存在を把握しておらず、自ら選択肢(パスコース)を減らしてしまうことになります。その結果、唯一見えている味方bに何となくパスを出すか(図2)、前線にロングボール、バックパス、ボールを奪われるリスクのある1対1に追い込まれるといった選択肢に限られてしまいます。

また選手bもボールに直線的に寄ることにより背後の状況を正確に把握することができません。結果的にボールを受けたとしても「バックパス」かディフェンダーの動きがわからない状況で「無理にターン」という選択肢に限られてしまいます。さらにボールホルダーが前進するためのスペースも消してしまいます。

一方、図3のようにボールホルダーが体を開いた状態でより広範囲の状況を把握できるようになるとより多くの選択肢(パスコース)を持つことが可能になります。また、選手bはボールと進行方向の状況を把握できる身体の向きでバックステップを使って斜めに動くとディフェンダーや選手cの存在を把握することが可能になります。この状態であればボールホルダーからパスを受けてもディフェンダーの動きを把握することができるので「ディフェンダーが来なければターン」、「ディフェンダーが寄せてきてターンが難しいからリターン」というように状況の変化に合わせて最適な選択肢を使い分けてプレーする(正しいことを行う)ことが可能になります。

判断のミス

図3と図4では、ボールホルダーが選手a,b,cとディフェンダーの位置を把握し、3つの選択肢(パスコース)があるとします。そこでボールホルダーが状況(ディフェンダーの行動)に応じて最適な選択肢を選ぶ(正しいことを行う)ことができているかどうかをチェックします。

例えば、ディフェンダーが最も高い位置にいる選手cへのパスコースを切れば選手bがフリーになり(図3)、選手bがマークされれば選手cへのパスコースが空くことになります(図4)。

さらに選手bもcもディフェンダーにマークされたら選手aだけがフリーな状態となります(図5)。この時に選手aがより高い位置でタイミングよくボールを受ければ局面を攻略して前進できるかもしれません(図6)。

実行のミス

逆にある程度テクニックの習熟度が高まってきた小学生や中学生以上であれば、ミスが起きた時に状況把握や判断(正しいことを行う)ができた上でのミスかどうかを確認し対応する必要があります。

例えば図6で、選手aへのパスが乱れてボールがタッチラインを割ったり、パススピードが遅くて選手aがディフェンダーに追いつかれたりすることがあります。この時、パスを出した選手がディフェンダーの動きを把握したうえで判断を下していたのであれば(正しいことを行ったうえでの実行のミスであれば)、「しっかり出せ!」と言う代わりに「よく観ていたし判断は良かった!」と言う声掛けをすることもできます。

あまりにもパスやファーストタッチのミスが多ければ、テクニック面の改善の割合を増やしたりメンタル面のチェックをしたりする必要があるでしょう。

知識の不足

状況を把握していても打開できるアイデア(選択肢)が見つからない場合もあります。知っているか・知らないかということも選択肢の数や質に影響を与えます。1日のトレーニングでは重点となる具体的なアイデアやコンセプトをウォーミングアップから落とし込み、認知・判断・実行とともに中長期的に定着させていく必要があります。

例えば図3~6の成功例は、Tr2のようなメニューを通してポジショニングや身体の向き、「1つパスコースを切られたら他が空く」といったアイデアやコンセプトを知っていることが前提条件と言えます。

Tr2) グリッド内 パス&ボールコントロール【すぐできる定番メニュー】Tr1) グリッド内 ドリブル&パスと同じく、小学生から大人まで使える定番メニューです。 ウォーミングアップでまずこのメニューを行い、...

また図6まではディフェンダーがいない場所(パスコース)を選択すればよかったので最適な選択肢がわかりやすいですが、図7のように数的同数の状況を打開するためにはさらにアイデアを落とし込む必要があります。1つの例として、まず選手bが斜めに下がりディフェンダーをひきつけて選手cへのパスコースを空けます。そして、選手cの右足(ディフェンダーから遠い足)に鋭いパスを入れ、選手bやdが3人目としてサポートします。選手cは背負っているディフェンダーの動きに応じて選手bかdへのパスを判断します。

  • ミスの原因を見極める(コーチングポイント)
  • 認知(観て状況を把握しているか)
  • 判断(最適な選択肢を選んでいるか)
  • 実行(正しく行っているか)
  • 知識(解決策を知っているか)

実行のみを切り取った反復形式のトレーニング

上述のように「状況把握・予測・判断・実行」は一瞬のプロセスの中で結びついているので、ある一つの要素だけを切り離して改善するのではなく、状況把握から実行までを素早く的確に行えるようにトレーニングする必要があります。「正しいことを行う」と「正しく行う」の要素を含んだトレーニングとも言えますが、一方、テクニックやフィジカルだけを切り離して行う反復形式のトレーニングは「正しく行う」だけのトレーニングになってしまいます。

「実行」だけを切り離したトレーニング例

  • 一定間隔で置かれたコーンをドリブルでかわす
  • 二人組の基礎練や対面パス
  • リフティング
  • 単純なランニング など

フィジカルや戦術面においてできることが限られている小学生年代のピリオドだけで見れば、短期間で効率よく一定のレベルまで到達できる反復形式によりテクニック(実行)だけを徹底的にトレーニングしたほうが結果につながる時があります。しかし、年齢やレベルが上がるにつれて相手のフィジカルや戦術レベルも上がるとボールを持った時の空間的・時間的なプレッシャーも高まるので、小学生年代のように何となくボールを受けてからドリブルで2人も3人も抜けるようなシーンは将来的に激減します。ボールを受ける時には常に身体の向きを整え状況に適した意図的なファーストタッチが必要になり、時には1タッチプレーでしか局面を打開できない状況も出てきます。「正しく行う」だけでなく「正しいことを行う」必要性が高まっていきます。

極端な例ですが、相手ペナルティエリア付近でボールを持ったらディフェンダーを1人や2人はがしてチャンスを演出できるドリブルが得意な選手がいるとします。しかし、自陣ゴール付近でボールを受けたときも「ボールを奪われたら失点につながる可能性が高い」とか「目の前にディフェンダーが4・5人いる」、もしくは「自分が相手を引き付けているから味方がフリーになっている」といった状況把握や判断(正しいことを行う)ができなければ、相手だけでなく自チームにとっても計算できない危険な存在となってしまいます。こうした選手はチーム戦術や状況に応じた戦い方に適応することが難しくなり、結果的に監督としては使いづらい存在になってしまうこともあります。

また中学生や高校生年代でもすべての状況を正しく把握して判断できる選手は少ないため、持久力にフォーカスしたフィジカルトレーニングを徹底的に行うことにより走り勝ってしまうこともあります。しかし、体の成長に大きな個人差のある年代からあまりにフィジカルを重視した方針を取ると、その時点で体格の良い選手や体の成長の早い選手が評価され、素質があるにもかかわらず体の成長の遅い選手が出場機会を失ったり淘汰されたりしてしまう可能性もあります。

いくら持久力やスピードがあってもいつどこに走るのか正確な状況把握と判断ができなければ、将来的に効果的な動きができずにボールを追いかけてがむしゃらに走り回ることが多くなってしまうかもしれません。

上の図(ドイツサッカー協会指導者講習会)のようにリーグが上がればフィジカルレベルもアップするのでフィジカルも大事な要素と言えますが、1部から4部リーグまでの平均値の差は30mで0,21秒10mに換算したら0,07秒とほんのわずかです。格上のリーグ相手ではなくても、ゲームインテリジェンスを用いた効果的なアクションによりフィジカル的に優れた相手に勝てるところがサッカーの面白いところです。そして、身体の成長が大人に近づいてからは身長や30mのスピードよりも頭の中(ゲームインテリジェンス)に成長の余地が多く残されていると言えるでしょう。

  • 実行だけを切り取った反復形式は「正しく行う」に特化
  • 年代が上がるにつれて「正しいこと行う」必要性が高まる
  • 「正しいことを行う」ことができない選手は計算しづらい
  • 育成年代でのフィジカル重視は発育の遅い選手が淘汰される危険あり
  • 身長やスピードよりもゲームインテリジェンスに改善の余地あり
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戦術的判断を伴ったトレーニング

「正しいことを行う」「正しく行う」の要素を含んだトレーニングは戦術的判断を伴ったトレーニングとも言えます。

実行部分(テクニック・フィジカル)が一定レベルの習熟度に達しているのであれば、実行」部分をだけを切り取った単純な動きを繰り返す反復形式ではなく、「状況把握・予測・判断」と「実行」を同時に取り入れた戦術的判断を伴ったトレーニングを行うことは小学生でも可能です。むしろ「状況把握・予測・判断」を高めていくには時間がかかるので、将来から逆算すると早期(小学生年代)から習慣化や土台作りが必要となってきます。

戦術的な判断を伴ったトレーニング

  • 数的同数・優位・不利のゲーム形式
  • 鬼ごっこ(ランニング・ステップ)
  • 動く障害物(他の選手)をかわす(ドリブル)
  • 1人でもディフェンダーをいれる(パス&ボールコントロール)
  • 観る要素を含める など

戦術的な判断を伴ったトレーニングは反復形式と比べてさまざまな状況が生まれるので、指導者の観察力やコーチング、課題となる現象を引き出すオーガナイズ(設定)も重要となります。オーガナイズ次第で選手のモチベーションを上げることもできるので、単純な反復形式と比べて選手の「退屈な練習をやらされてる感」を大きく減らすことができるでしょう。

状況把握や・判断力の不足をカバーするためにボールを使わないハードな走りのトレーニングを行うという選択肢もありますが、ボールを使いながらのほうが楽しいですよね。僕はドイツやチェコでもサッカーで必要とされるフィジカルのトレーニングを経験しましたが、日本の中学・高校時代に味わった必要以上の単純な走りのトレーニングのほうがはるかにきつかった思い出があります。

  • 戦術的な判断を伴ったトレーニング
  • 「正しいことを行う」と「正しく行う」
  • 「認知・判断・実行」の習得には時間がかかる
  • 早期(小学生年代)から習慣化や土台作りが可能
  • 観察力やコーチング、オーガナイズが重要
  • やらされている感を減らすモチベーションを上げる
ドイツで感じたテクニックに対する評価の違い【手段が目的化していないか】 僕がドイツに行って感じたことの一つですが、日本とは「テクニック」や「サッカーがうまい」という言葉の捉え方が全く違っていたというこ...

トレーニングメニュー例

戦術的判断を伴ったトレーニングメニュー例としてはゲーム形式Tr53)や少ない人数でもディフェンダーを入れたメニューが挙げられます。テクニックの習熟度があまり高くない小学生年代であれば、ある程度反復の要素を残して回数をこなせる設定にしつつも、動く障害物を入れたり(Tr1)、1人でもディフェンダーを入れたりする(Tr8)だけで状況把握や判断の要素が生まれ、さらにポジショニングや身体の向きなど状況把握に必要な要素も同時に学んでいくことができます。

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小学3・4年生あたりからでも十分できるTr79のようなメニューでは「ドリブルとパスの使い分け」を学び、ボールを持った時の判断基準を身につけていくことができます。シンプルなメニューですが、シンプルゆえに中高生以上でも本当に最適なアクションが行えているかどうかをチェックできるメニューです。より複雑な「選択肢の使い分け」のメニューTr80もあります。

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まとめ

戦術的な判断を伴ったトレーニングは同じ動きの繰り返しを行うわけではないので、短期的な視野で見れば反復練習と比べると習熟度が遅いと感じるかもしれませんが、将来を見据えて我慢強く取り組んでいきましょう。僕も引退間際や指導者になってからゲームインテリジェンスや「正しいことを行う」ことの重要性を深く理解しはじめ「もっと早くから取り組んでおけばよかった」と感じています。

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