ドイツで行われた国際指導者カンファレンスITKに参加したときに紹介された1日のトレーニング例です。このトレーニングセッションでは単純なクロスやシュートに取り組むだけでなく、マークを外してシュート打つためのオフ・ザ・ボールの動きやニア・ファー・マイナスなどどこでクロスに合わせることができるかなどチームでアイデアの共有も深めていくことが可能です。
ゴールの約80%がペナルティエリア内からのシュートによるもので、そのうち約60%は1タッチ、約20%が2タッチで打たれているというデータがあります。クロスはペナルティエリア内に侵入するための手段の一つですが、ペナルティエリア内は相手の守備もコンパクトな状況で、攻撃側はディフェンダーのマークを外し1タッチでシュートを打つスペースと時間を作ることができれば得点の可能性を高めることが可能です。逆に守備側はペナルティエリア内で相手に少しでもスペースと時間を与えれば失点の可能性が高まってしまいます。ゴール前のオフ・ザ・ボールの動きを改善して得点力アップ、失点減少につなげましょう。Viel Spaß!
ウォーミングアップ【導入】
ウォーミングアップから、クロスからのゴール前の攻防で必要なポイント(ステップやマークを外す動き)を取り入れて行っていきます。2つのメニューがありますが、1つずつ別の日に行ってもよいですし、慣れてきて時間的に余裕があれば両方行ってもよいでしょう。
1つ目のTr63)サークルステップはマーカーなど用意することなく簡単に短時間でできるメニューです。主に守備時に必要となる、相手を見失わない身体の向きや様々なステップ(バックステップ、クロスオーバーステップ)に取り組むことができます。
2つ目のTr64) ジグザグステップ鬼ごっこもシンプルなメニューですが、攻撃側は相手の動き(重心)を観て逆を取る、守備側は素早いリアクションを行うなど、細かなところまで突き詰めていくと小中学生だけでなく上級者も実戦で応用できるポイントを学ぶことが可能です。
サポートメニュー【発展】
ウォーミングアップ後は、ディフェンダーをつけない状態で実戦で必要となるアクションを反復できるメニューTr65) ダイアモンド型パスを行います。反復と言っても同じことを繰り返すのではなく、ニア・ファー・マイナスなどどこでクロスに合わせてシュートを打つのかグループでアイデアを共有しつつ、個々でマークを外すためのオフ・ザ・ボールの動きやシュート、クロスに取り組みます。
メインメニュー【応用】
メインメニューTr66) クロスから1対1・2対2+GKはクロスからゴール前の攻防を切り取ったもので、ウォーミングアップやサポートメニューで学んだ要素を実戦に近い状況で応用していきます。
ゴール前はシンプルに1対1+GKで行ったり、2対2+GKなど人数を増やしたりすることで、攻守において選択肢を増やして実戦のシチュエーションに近づけていくことが可能です。クロスもただ上げるのではなく、クロスの前に実戦を想定したコンビネーションを織り交ぜることでアイデアを共有していきます。
ゲーム【挑戦】
ドイツサッカー協会が育成年代に推奨する「ベスト・トレーニングセッション(beste Trainingsheinheit)」内のミニゲーム形式の一つです。30分の間に1選手が最低でも4分を3~4回行うことが推奨されています。ウォーミングアップからメインメニューまでで学んだ要素にチャレンジしてみましょう。