サッカー選手(スポーツ選手)にとっての食事や栄養の重要性について、SSS(Sport Surport Specialist)の清水さんとのコラボ企画です。食事を通して伸びる選手、伸び悩んでしまう選手の傾向などについて語っています(後編)。前編はこちら

【清水 敬太】
幼少期から野球をプレーし、アメリカのIMGアカデミーに留学。アメリカのHERKIMER COUNTY COLLEGEを卒業後、独立リーグで野球をプレー。引退後はオリンピック選手や各競技のアスリート・チームを栄養指導などでサポートしている。

サッカー選手の適正体重と必要カロリーは?

MC室橋:今いろいろなチームを食事や栄養面でサポートしている清水さんから、体作りや食事のポイントについていくつか説明していただければと思います。

清水:一つ基準としては、「身長 – 110」の体重を目標にしてほしいと思います。例えば、170cmの選手であれば60~65kg、180cmであれば70~75kg、これを一つの基準にしてほしいというのをサポートしているチームにお話しています。

その中で大事なポイントとしては、弊社の方でInbody測定を行っているので、そこで筋肉量や体脂肪量を見ながら、実際に増えたのが脂肪だったのか筋肉だったのかを判断材料にしていきます。

実際、高校サッカーでも中学生でもそうなんですけど、運動量に対してエネルギーが圧倒的に足りていないケースが多いので、体脂肪が非常に増えるケースはほとんどないかなと思っています。

1日2時間くらいの練習時間だとして、170cmくらいの選手の場合だと、1日で3000kcalくらいは摂らなければいけない計算になります。ほとんどの選手がだいたい2200~2600kcalくらいで満足してしまいます。ですので、1日に必要なカロリー3000に対してだいたい400~500ぐらい足りていない状況になります。そして、カロリーが足りていないとどうなるかというと、1ヶ月間で体重が1~2kg落ちてしまうこともあります。特にこれから暑さで食欲が減って食べる量も減ってしまうと夏の時期に体重が落ちてしまい、秋以降の高校選手権前にはパフォーマンスが落ちてしまうというケースにつながると思います。

なので選手たち一人一人が1日に必要なカロリー摂取を毎日積み重ねることが重要です。それが1日だけ3000kcal摂れても、次の日が2200kcalだと-800kcalになってしまうので、毎日基準のカロリー摂取を積み重ねることをやってほしいです。

実際、サポートしている選手やチームでもそれをやっている選手ほど、1ヶ月後のInbody測定で非常にいい結果が出ます。点数も2点3点アップしたり、体重がほぼ筋肉量で3kg増えたりする選手もいます。それだけ高校サッカーの選手はカロリーが足りていない場合が多いので毎日積み重ねてほしいです。

自分たちのサービスで公式LINEに食事の写真を送ってもらえれば、栄養士がカロリーを計算してくれます。それを基準に十分食べられているのか、食べられていないのかをチェックしてもらうと、ほとんどの選手が1ヶ月で3kgくらいは増えるかなと思います。

  • 身長 – 110 < 体重
  • 消費カロリー < 摂取カロリー

体重を1kg増やすために必要なカロリーは?

MC室橋:実際に体重を1kg増やすためにはどれくらいのカロリーが必要ですか?

清水:1kg増やすために7200kcal必要と言われているので、それを30日で割ると1日240kcalぐらいプラスで摂る計算になります。3000kcal必要な選手であればそこにプラス240kcalとなるので、3240kcalを30日摂り続ければ体重が1kg増えるという計算になります。それをやるかやらないかが2日に1回、3日に1回になってしまうとうまく進みません。毎日の積み重ねがすごく大事だと思います。

土屋:1日のカロリー摂取量を増やすためにどんな食事のとり方や工夫がありますか?

清水:まず一つは朝食を食べることですね。朝食が少ない選手が多いので、朝食でだいたい700~1000kcal摂れるとベストかなと。もう一つは食べる回数になります。朝昼晩だけで1000kcalずつ摂れれば理想なんですけども、摂れない時もあると思うので、朝食の3時間後に補食、昼食の3時間後に補食、練習前後にまた補食といった形で、おにぎりでもバナナでもプロテインでもいいので、いろいろなタイミングで食べていくとトータルで1日のカロリーが摂れると思います。

  • 1ヶ月で1kg増やすためには1日240kcalプラスで摂取
  • 3食プラス補食でカロリー摂取を増やす

練習後はタンパク質?炭水化物?

土屋:カロリーだけじゃなくてタンパク質も必要だと思いますが、体重x2倍くらい(のグラム数)1日に摂った方がいいですか?

清水:摂っても全然大丈夫です。ボディビルダーとか筋トレを多くする人は体重の2.5~3倍のグラム数を摂っても大丈夫と言われていますし、1回の吸収率が20~30gって言われていたんですけど、1回で50~60gのタンパク質を摂っても長時間かけて体内で吸収するというデータも出ています。基本的にはそこは気にせず、少ないよりは摂った方がいいと思います。

土屋:練習後にプロテインを飲む選手は多い傾向にあると思うんですけど、プロテイン(タンパク質)だけじゃなくてカロリーが足りていない場合があって、例えば、空腹で練習しちゃったり、練習後にプロテインだけじゃなくておにぎりやバナナなどを摂っていない状況がまだあるように感じています。

清水:一番自分たちが大事にしているのは、練習終わりにプロテインよりも炭水化物でエネルギー補給しようというところになります。糖質、エネルギーが足りていないとどこからエネルギーを出すかって言うと、自分たちの筋肉だとか回復させるための材料から補ってしまうので、それを防ぐためにまず炭水化物、エネルギーを摂ってからプロテインが理想です。練習終わりや筋トレ後にプロテインだけじゃなくて、プロテインと炭水化物を摂ると吸収率が上がるというデータもあるので、それだけでも毎日やるだけでかなり変わってくると思います。

MC室橋練習終わりの30分以内、いわゆるゴールデンタイムに栄養を摂るのが重要ですか?

清水:そこをしっかりすれば筋肉にすぐに栄養を渡せるので、まずやってもらいたいところです。量が食べられない選手ほど、そこのタイミングを重要視してほしいです。

土屋:そこをやらないとせっかく一生懸命トレーニングしても筋肉からエネルギーが取られて細くなってしまう・・・逆効果?

清水:逆効果ですね。そこを摂るだけで、中学生とかでも身長の伸び率も変わってきますし、せっかくがんばって努力したことが無駄になってしまうのを一番防いでほしいです。丼ですごいのをいきなり食べろという話ではないので、気軽に簡単にできるポイントだからこそすぐにやってほしいなと思います。

  • トレーニング後はプロテインだけでなく炭水化物も

朝、食べられない選手へのアドバイスは?

MC室橋朝なかなか食べられない子や時間がないという子がいますが、そういった場合の攻略法はありますか?

清水:できれば何か体に入れてほしいです。おにぎり1個でも味噌汁でも。本当に時間がない時であれば牛乳1杯200mgとバナナ1本とか、スナックバーでもいいよという話はしています。ただそれだけだと300kcalぐらいしか摂れないので、補食でがんばってもらわないといけないということを考えると、朝はできればしっかり食べてほしいと思います。

最近も保護者の方から朝食べられないという質問があったんですけど、まずはバナナ1本から、牛乳1杯から、朝に食べる習慣をつけていきましょう。最初はそこからでいいと思います。

競技や国によって体作りへの意識は違う?

土屋:もし体作りをやっていない選手だらけの世界だったら、お互い同じくらいの体のレベルで細い選手同士の戦いになって、その環境で満足なプレーができたら体作りの重要性に気がつかない可能性があるかもしれません。自分はできてると勘違いしてしまうかもしれないですけど、例えば、他の競技とかアメリカだと文化的に違いますか?サッカーよりもアメフトとか、国で言ったらアメリカとか、体作りに対しての意識が浸透しているイメージがあるんですが。

清水:自分もアメリカに7年ほどいたんですけど、アメリカの方がウエイトトレーニングの文化が日本よりも圧倒的に浸透していて、スポーツをやっていない方もトレーニングをする、それに対してプロテインを摂る、食事を摂るっていうのがすごく当たり前になっていると思います。

あと文化的な背景としてハイカロリーなハンバーガーとかピザが日常的にあるので、それだけだと不健康になってしまうので食に対するニーズはすごく高いかなと思います。

スポーツ選手に関しても、身体が細いというのがダメという概念がアメリカではあって、自分が在籍した大学のサッカーチームも強かったんですけど、ほとんどの選手がウエイトトレーニングをやっていましたし、それに対してプロテインを摂っていたりとか、どの競技もテクニックがあっても体が小さかったらダメだというのがアメリカの文化として浸透していると感じました。

土屋:ロッキーの影響は大きいですか?僕らの学生時代はロッキーがよくテレビで放映されていて、そういう筋肉系のヒーローに影響されて体作りに取り組む選手も周りにも多かった気がするのですが、今はそういう風潮も少ないのかなと感じています。やる人はやるけどやらない人はやらないみたいな状況で、格差は広がっているのかなと感じることもあります。

清水:自分もロッキーにはちょっと憧れましたけど。自分のイメージとしては、サッカー業界はこれから体作りの面も当たり前になってくるかなと思っていまして、理由としては、野球業界がトレーニングや食事が当たり前になっているんですけど、これが10年前15年前ってトレーニングを推奨する意見の人と否定する意見の人で分かれていました。それが10年かけてアメリカや海外の情報が入ってきて当たり前になってきて、サッカーも今後それが当たり前になってくると予測しています。

体重を増やすと体が重く感じる?

土屋:体作りをしていくと体が重く感じる選手がいて、トレーニングして筋肉がついて重くなるとか、食べ過ぎて重くなることもあるかもしれないですけど、基本的には筋肉量で体重を上げながら体の動かし方とかを上げていけばアスリートとして向上できますか?

清水:サッカーでは、体が重くなるので体重を増やしたくないという選手が非常に多いと思います。フィジカル面のスピード感だとか当たり負けしないことなど含めて、上げていった方が絶対にいいと思います。体重が重いと感じてしまう背景としては、体重を増やしている段階でまだ体が順応していない、それか体脂肪が増えてしまっている、あとは食べ過ぎで胃の消化不良で血流不足になっている、そういったことが関係している可能性もあるので、決して短期的な感覚で見るのではなく長期的に考えると筋肉量で体重を増やした方がいい、サッカー選手は増やしたもん勝ちのような状況だと思います

土屋:伸びしろはだいぶありますよね。

サッカー選手の伸びしろは上半身?

土屋:Inbody測定をすると体の部位ごとに、左腕右腕、左脚右脚、体幹と筋肉量が出てきますが、数値的に脚は勝手に普段からトレーニングされているので標準以上とか強いという評価の選手は多いんですけど、体幹含めて上半身が標準以下という選手がけっこういるのかなと感じます。

清水:サッカー選手はどこのチームもほとんどの選手が上半身はかなり低いですね。ただ良い選手やレベルの高い選手ほど上半身の筋力が下半身に近くて均等になっている方が多いと思います。それだけサッカー選手って上半身を鍛えれば、やっていない選手が多いことを考えれば、すごい差が出てしまうんじゃないかなと思います。

そんなに強くないなっていうチームほど、はっきりわかるのが体重が圧倒的に少ないということと、上半身の筋肉量が圧倒的に少ないです。Inbody測定で70以下という数値も見かけますが、数的的にも体格差があまりにもはっきり出てしまっていて、たぶん技術動向よりフィジカル不足でできていない部分が多いように感じます。

室橋さんのデータ(下の写真)で言うと、サッカー選手っぽくないですよ(笑)。上半身の方が強い。

MC室橋:脚が弱ってる。

清水:脚が弱い。

土屋:運動不足。

清水:(サッカー選手は)ふつう逆なんですよ。

どれくらいの期間で体作りの効果が表れる?

土屋:前編でもお話したんですけど、食事だとかピッチ外のことが大事だと認識できていない選手がいるので、数字で示すと選手もわかりやすいですし、気づくことがたくさんとあると感じます。

Inbody測定をしてその数値をもとにトレーニングや食事の改善をしていきますが、長期すぎると選手たちも取り組みが習慣化しづらいし、短すぎても効果がわからないと思いますが、短すぎず長すぎず、選手たちが効果的にできそうな期間はどれくらいがおススメですか?

清水:だいたいのチームでは1ヶ月くらいしっかり行えば、筋肉量を増やしたり体脂肪を下げたりすることはできるので、まずは1ヶ月取り組んでもらえればと思います。

弊社のサービスとしては、公式LINEで食事の写真を送ってもらったり食事の相談としてどんな補食を食べればよいかなどを質問を送ってもらえば管理栄養士が答えるというサービスを行っています。それを行いつつ、選手たちにも1ヶ月間、1日3000kcalをしっかり摂れているのか、それをチームで取り組むっていうのがベストかなと。実際、写真を送るだけで変わってくるので、自分も不思議だなと思います。

土屋:また新たに凄いサービスが登場するという噂を聞いたんですが。

清水:ありがとうございます。今、栄養士の方が20時までに来たLINEは当日に返す、それ以降は次の日に返すのでタイムラグが起きていましたが、今AI連携をさせていただいてまして、写真を撮って送ったら1分もかからずに食事のカロリー、そして、その選手の身長体重とかも全部連携してるので、どれくらい食べなきゃいけないのかというアドバイスを送れるように管理栄養士と一緒に内容を精査しています。2026年7月以降にオープンできると思うので、その際にはぜひ使っていただければなと思います。

土屋:今回は食事や栄養のことについてお話いただいたんで、今度はさらに体作りのスピードを高めるために、どんなトレーニングをしたらよいかとかお願いします。ちょうど室橋君もいるので実験台になってもらって。

自宅で器具を使ってとかジムに行ったりとか難しい選手もいると思うので、自宅でできる効果的なトレーニングメニューを教えていただけたらと思います。

清水:サッカー選手に向けてできればと思います。

MC室橋:では次回はトレーニング編ということでお願いします。ありがとうございました!

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