試合中はボールの動きだけでなくピッチ全体の状況も把握する必要があります。例えば、サイドバックやセンターバックが攻撃参加したら、ボランチや逆サイドの選手がスペースを埋めたり絞ったりしてチームのバランスを取り攻撃時から守備の準備を行います。
このメニューは「パスを出して次の場所に移動する」というよくあるパス&ボールコントロールと違い、「パスを出した場所以外に移動する」というルールで行うことで選手が不在となる場所が発生し、その不在となった場所を素早く埋める作業により状況把握やコミュニケーションの改善に取り組むことが可能です。
慣れてきたら3人目を絡めたコンビネーションや2つのグリッドをつなげてサイドチェンジを取り入れるなど、様々なバリエーションで行うことが可能です。Viel Spaß!
重点
状況把握(身体の向き、首を振る)、コミュニケーション、ファーストタッチ、パス、サイドチェンジ、3人目の動き
準備
- 10x25mのグリッド内に斜めにマーカーを2つ置く。約10m離して同じようにグリッドを作る(人数が少なければ1つでOK)。
- それぞれのマーカーがすべて埋まるように各グリッドに7~9人選手が入り、ボールを1つ用意する。
進め方
- ボールを持っている選手はグリッド内の任意の選手にパスを出す(図a&b)。
- パスを出した選手は、パスを出した場所以外のマーカーに移動する(図a&b)。
- 選手が不在のマーカーが発生したら、他のマーカーにいる選手が移動してカバーする(図c)。
バリエーションA(3人目の選手)
- 中央のマーカーでパスを受けた選手は、1タッチでもう一人の中央の選手にボールを渡す。3人目を絡めたコンビネーションを行う(図d)。手前のマーカーの選手に出すと3人目を把握しづらいので(図e)、奥の選手に鋭いパスを出す(図d)。
- パスを出した選手はパスを出した場所以外に移動し、マーカーが選手不在になったらできる限り素早く埋める。
バリエーションB(グリッド2つをつなげる)
- 2つのグリッドをつなげて(マーカー12個分)ボール2球で行う(下図f)。
- ボールを持っている選手は、反対側のグリッドにもボールを送ることが可能。
- パスを出した選手は、反対側のグリッドに移動することも可能。
- ボールを持っていない選手は、穴埋めのために反対側のグリッドに移動することも可能。
バリエーションC(サイドチェンジ)
- 中央で3人目としてボールを受けた選手は必ず隣のグリッドに展開する(上図f)。隣グリッドのどの選手にパスを出してもよい。
- 隣のグリッドからボールを受け取ったグループ(赤)は、なるべく早く反対のグリッドにもともとあったボールを展開する。ボールが各グリッドに1球ずつの状態を保つ。
- パスを出した選手は、反対側のグリッドに移動することも可能。
- ボールを持っていない選手は、穴埋めのために反対側のグリッドに移動することも可能。
コーチングポイント
- 距離に合わせたパススピードと味方のどちらの足にパスを出すかを調整する。
- 状況を把握するためにボールと逆方向も見える身体の向きを作り、さらにこまめに首を振る。
- 事前に受け手の位置を把握したうえでファーストタッチを行い、パスまでを素早く正確に行う。
- 声やジェスチャーでコミュニケーションを図り、できる限り不在の場所を埋める。
- 3人目の選手とコンビネーションを行う場合、中央の深い選手に鋭いパスを当てる。手前の選手にパスを出すと、3人目の位置を把握しづらい角度になる(把握せずにパスを出すことになる)(図e)。
バリエーション
- マーカの距離や置き場所を変更する。
- 手でボールを投げて行う。
- 3つ以上のグリッドで行う。