Tr59) 十字のパスのようなメニューでは、後方からの縦パスを受ける時のポジショニングや身体の向きを調整することで進行方向の状況を把握しながらファーストタッチを改善していきました。
Tr59) 十字パス【縦パス・スルーパス】縦パスを入れることができない、なかなか前進することができない、そういった状況を改善するための実戦的なパス&ボールコントロールのメニューで...
しかし、実際の試合では背後からディフェンダーに厳しくマークされた状況でも縦パスを受けなければならないこともあります(下図)。特にフィールドの中央ではフォワードや中盤の選手は相手ディフェンダーを背負う状況が増えますが、背後からのプレッシャーを避けてすべての選手がサイドに広がってボールを受けようとすると中央の選択肢(パスコース)がなくなってしまいます。逆に、フィールド中央や相手ゴール前、相手の中盤とディフェンスラインの間(ドイツではレッドゾーンと表現)でディフェンダーを背負った状況でもボールを失わず、しかも前を向くことができれば、チームの攻撃の幅も広がり相手も守備の的を絞りにくくなるでしょう。Viel Spaß!
重点
オフ・ザ・ボールの動き、ファーストタッチ、フェイント、ドリブル、パス、アイコンタクト(コミュニケーション)
準備
- 14mの距離でマーカーを2つ置き、中間地点に1mの幅でコーンを2つ置く。
- 4~6人組でボールを用意してマーカーの場所に並ぶ。
進め方
- 1人が中央のコーンの横に動いて反対側からボールを受ける。
- コーンから遠いほうの足のインサイドでコントロールして味方にパスを出す(図a)。できればファーストタッチで前を向き、セカンドタッチでパスを出す。
- ターンしてからパスを出した選手はもともといたマーカーに戻る。中央にパスを出した選手が次にコーン付近でパスを受けに行く。
- 方向やパターンを変えて行う。
図b:コーンから遠いほうの足のインサイド(もしくは足の裏)で引いてターンする。
図c:一度コーンの前にボールをコントロールしたあと、ステップオーバーを入れてからアウトサイドでターンする。
図d:2つ目のコーン前まで回り込んだ後、コーンから遠いほうの足のアウトサイドでターンする。
コーチングポイント
- 出し手とタイミングを合わせてボールを受ける。ディフェンダーのマークを外している状況を想定し、動きながらボールを受ける。早く出すぎてコーンの位置で止まってボールを待っているということはディフェンダーにぴったりとマークされているということ。
- 出し手は味方のコーンから遠いほうの足(ディフェンダーから遠いほうの足)に鋭いパスを出す。コーン側からディフェンダーが来ていると想定。
- コーンにボールをぶつけず、タッチが大きくなりすぎず、正確なファーストタッチで前を向けるようにする。図cのパターンではコーン間に軽くボールが転がる程度にコントロールしてから鋭いステップオーバーを入れる。
- アイコンタクトをしてから正確なパスを心がける。
- 少しずつ一連の動作のスピードをアップしていく。
バリエーション
- 左右の足や足の様々な部位でコントロールする。
- コーンの間でボールを受けてターンする。
- シュートと組み合わせて行う(Tr136)。
- ディフェンダーを背負って横パスを受ける状況を想定して(下図)、マーカーと中央のコーンを一直線に並べて行う(図e~h)。
- 図e:ディフェンダーの前方を突破
- 図f:インサイドで引いてコントロールしてディフェンダーの後方を突破
- 図g:小さくコントロールしたあとステップオーバーを入れてからディフェンダーの後方を突破
- 図h:インサイドで軸足の後ろにコントロール(クライフターン)してディフェンダーの後方を突破